仙台市青葉区旭ヶ丘に、ふとした時に無性に訪れたくなる、妻の好きなお蕎麦屋さんがあります。初めて訪れた時に食べた細打ちで風味豊かな「丘のもりそば」の美味しさに感動して以来、このお店のファンになりました。元々はラーメン屋さんだったと聞き、好奇心から「中華そば」をいただいたこともあります。前回は少し冒険して「カレーつけそば」を注文しましたが、こちらは少し好みが分かれる結果に。それもまた、通うからこその発見です。そんな風に訪問を重ねてきましたが、実は私にはずっと心に秘めた想いがありました。それは、東京では夏の定番だった「冷やしたぬき」のような、具が乗った冷たいぶっかけ蕎麦を仙台で食べてみたい、ということ。不思議と仙台では、このスタイルのお蕎麦をあまり見かけません。そして迎えた4回目の訪問。夏の暑い日差しの中、ついに理想の一杯に出会うことができたのです。
丘のそば屋 1974
974という数字が、このお店の歴史と物語を静かに語りかけてくるようです。店内は、木の温もりを基調とした、清潔感あふれる落ち着いた空間。BGMには心地よいジャズが流れ、大人が心からリラックスできる空気が満ちています。
私が色々なメニューに心を移す中、妻はいつも決まってこの一品を注文します。それが、お店の看板メニューでもある「丘のもりそば」です。もりそばは、ごまかしが一切きかない、そのお店の実力が最も試される一品。瑞々しく輝く細打ちの蕎麦は、キリッと締められており、しっかりとしたコシと豊かな風味、そしてつるりとした滑らかな喉越しを一度に楽しむことができます。香り高い出汁と、キレのあるかえしが調和したつゆもまた絶品で、蕎麦の繊細な風味を最大限に引き立てています。
「やっぱりお蕎麦が一番美味しい」
そう言って満足そうに蕎麦をすする妻の姿を見るたびに、このお店の基本にして頂点である、この一杯の素晴らしさを再確認させられます。


妻がこのお店の「基準点」ともいえる「丘のもりそば」を堪能する横で、私の前に「浜のぶっかけ蕎麦」が運ばれてきました。冷水で締められた美しい蕎麦の上には、主役である「いかあられ」です。細かく刻まれたイカの天ぷらが、惜しげもなく散りばめられています。その周りを固めるのは、清涼感あふれる具材と刻み海苔。まさに夏の宝石箱のような、見た目にも美しい一杯です。
まずは、薬味と蕎麦、そして「いかあられ」を豪快に混ぜ合わせ、一口。つるりとした蕎麦の喉越しに、サクサクとした「いかあられ」の香ばしい食感とイカの旨み。
私が仙台で探し求めていた、東京の「冷やしたぬき」のような、具材と共に楽しむ夏の冷たい蕎麦。しかしこれは、単なる揚げ玉が乗っているのとは訳が違います。イカの旨みが加わることで、一杯のご馳走として完全に成立しているのです。


夏の暑さを忘れさせてくれる清涼感と、心もお腹も満たされる満足感。4回目の訪問にして、ついにこの味に出会えた喜びは、ひとしおでした。
最後までお読み頂き有難うございました。
お店情報
店名 丘のそば屋 1974
住所 宮城県仙台市青葉区旭ケ丘2-27-3 リモーブル旭ケ丘 1F
電話 非公開
営業時間 11:00〜16:30(金)(土)のみ、夜も営業しております。
11:00〜16:00 18:00〜21:30
定休日 月曜日
備考