木枯らしが吹き始め、温かい蕎麦が恋しくなる11月。手元の写真フォルダを整理していると、今年の夏に一つの「宿題」をやり遂げた日の、鮮やかな記憶が蘇りました。その宿題とは、仙台のディープスポット「いろは横丁」に佇む老舗「そばの笹屋」さんで、噂に聞く「ほやの冷やし中華」を食べること。仙台の夏の風物詩とも呼ばれるこの逸品を、長年ずっと食べてみたいと思っていました。昭和の空気が色濃く残る横丁の、歴史ある蕎麦屋。その店先に「ほや冷やし中華」の貼り紙が出されると、仙台の夏が来たと感じます。
おそば笹屋
ついに念願叶って対面した「ほやの冷やし中華」。第一印象は、想像していたよりも「やや小さめ」で上品な盛り付け。しかし、その器の半分を覆い尽くす、鮮やかなオレンジ色の「ほや」の存在感が凄まじい。そして、麺を持ち上げて二度驚きました。これは…蕎麦屋の麺とは思えぬ、驚くほどの「細麺」。一体、何番の切り刃を使っているのか。期待と好奇心で、胸が高鳴ります。
「そばの笹屋」さんは、仙台「壱弐参(いろは)横丁」の誕生(昭和21年)から間もない昭和23年(1948年)に創業した、まさに横丁の歴史と共に歩んできた老舗の食堂・蕎麦屋です。

カツ丼やラーメン、そしてもちろん蕎麦。あらゆるメニューが揃う、昭和の「ザ・食堂」といった風情ですが、その実力は本物。昼時ともなれば、この横丁で働く人々や、この味を求める常連さんでいつも賑わっています。このレトロな空間で、夏になると突如として現れる「ほや冷やし中華」は、異色のようで、今や「笹屋の夏」を代表するメニューなのです。


このメニューの最大の特徴は、何と言っても「ほや」です。お話を伺うと、新鮮なほやを丸々一個分、贅沢に使っているとのこと。脇役ではなく、完全に「ほやが主役」の一皿です。
スープは、醤油やごま油を使わず、レモン果汁や塩麹などで仕上げた特製の塩ダレだそう。これは、ほやの繊T細な海の香りを最大限に活かすための工夫。一般的な冷やし中華の酸味とは異なり、ほやの甘みと旨味を引き立てる、爽やかな味わいです。
そして、驚愕の「極細麺」。これは中華麺ですが、冷やし中華用としては異例の細さです。この細麺が、特製の塩ダレスープと、ほやから出る旨味を余すところなく絡め取ります。



まずは麺をすすると、キュッと締められた細麺が、爽やかなスープを纏って口の中に飛び込んできます。喉越しが最高です。そして、いよいよ主役の「ほや」を麺と一緒に。…美味しい。臭みは一切なく、プリプリとした食感と、噛むほどに広がるほや特有の甘み、そして鼻に抜ける磯の香り。これが、酸味の抑えられた塩ダレスープと細麺に、見事に調和しています。盛りはやや小さめと感じましたが、とんでもない。ほやが丸々一個分入っているため、満足感は絶大。ほや好きにはたまらない、唯一無二の「仙台の夏の味」でした。


宿題だった「ほやの冷やし中華」。それは、老舗蕎麦屋が時代のニーズに応えつつ、宮城の食材「ほや」への深い愛と理解を持って生み出した、革新的な一皿でした。 来年の夏も、この味を求めて、またいろは横丁の暖簾をくぐることにします。
店名 きそば たかみ
住所 宮城県仙台市青葉区二日町10-25
電話 022-222-4359
営業時間 平日 昼の部 11:30~15:00(14:45 LO) 夜の部 16:30~20:30(19:45 LO)
土曜日 昼の部 平日と同じ 夜の部 16:30~19:00(18:45LO)
定休日 日曜日
備考
カメラ
★28mm F2.8と言う明るい単焦点レンズのカメラですが、クロップで35mmと50mmで撮ることが出来ます。テーブルフォトでは綺麗に撮れます。オススメです。


